本因坊戦
 

 

1939年創設。毎日新聞社主催。最後の世襲本因坊二十一世本因坊秀哉名人は、本因坊の名は棋界随一の実力者が名乗るべきものであるという思いから、日本棋院に本因坊の名跡を譲り渡し、選手権制による本因坊戦「本因坊名跡争奪・全日本専門棋士選手権大手合」が行われることになった。囲碁におけるタイトル制度はこれが始まりであり、以後に始まる多くの棋戦のモデルとなった。

なお、女流戦にも女流本因坊戦がある。

 

世襲本因坊

  • 一世 - 本因坊算砂
  • 二世 - 本因坊算悦
  • 三世 - 本因坊道悦
  • 四世 - 本因坊道策
    • 跡目 - 本因坊道的
    • 跡目 - 本因坊策元
  • 五世 - 本因坊道知
  • 六世 - 本因坊知伯
  • 七世 - 本因坊秀伯
  • 八世 - 本因坊伯元
  • 九世 - 本因坊察元
  • 十世 - 本因坊烈元
  • 十一世 - 本因坊元丈
    • 跡目 - 本因坊知策
  • 十二世 - 本因坊丈和
  • 十三世 - 本因坊丈策
  • 十四世 - 本因坊秀和
    • 跡目 - 本因坊秀策
  • 十五世 - 本因坊秀悦
  • 十六世 - 本因坊秀元
  • 十七世 - 本因坊秀栄
  • 十八世 - 本因坊秀甫
  • 十九世 - 本因坊秀栄
  • 二十世 - 本因坊秀元
  • 二十一世 - 本因坊秀哉

タイトル五連覇による本因坊

  • 二十二世 - 本因坊秀格(高川格)
  • 二十三世 - 本因坊栄寿(坂田栄男)
  • 二十四世 - 本因坊秀芳(石田芳夫)
  • 二十五世 - 本因坊治勲(趙治勲)

歴代本因坊戦優勝者

  1. 1941 関山利一(利仙) 3-3 加藤信(規定により予選一位の関山が初代本因坊に)                     1 2 3 4 5  
  2. 1943 橋本宇太郎(昭宇) 1-0 関山利一(関山病気棄権)                                1 2 3 4 5  
  3. 1945 岩本薫(薫和) 3-3 橋本宇太郎 (この第2局が原爆下の対局。再決戦は2-0で岩本勝利)         1 2 3 4 5 6 P1 P2
  4. 1947 岩本薫 3-2 木谷実                      1 2 3 4 5 
  5. 1950 橋本宇太郎 4-0 岩本薫                   1 2 3 4 5                         
  6. 1951 橋本宇太郎 4-3 坂田栄男(昇仙峡の逆転劇)     1 2 3 4 5 6 7 
  7. 1952 高川格(秀格)4-1 橋本宇太郎              1 2 3 4 5 
  8. 1953 高川格 4-2 木谷実                     1 2 3 4 5 6
  9. 1954 高川格 4-2 杉内雅男                     1 2 3 4 5 6
  10. 1955 高川格 4-0 島村利博                     1 2 3 4  
  11. 1956 高川格 4-2 島村利博                     1 2 3 4 5 6  
  12. 1957 高川格 4-2 藤沢朋斎                     1 2 3 4 5 6  
  13. 1958 高川格 4-2 杉内雅男                     1 2 3 4 5 6 
  14. 1959 高川格 4-2 木谷実                     1 2 3 4 5 6 
  15. 1960 高川格 4-2 藤沢秀行(高川9連覇達成)            1 2 3 4 5 
  16. 1961 坂田栄男(栄寿) 4-1 高川格                   1 2 3 4 5 
  17. 1962 坂田栄男 4-1 半田道玄                     1 2 3 4 5 
  18. 1963 坂田栄男 4-2 高川格                     1 2 3 4 5 
  19. 1964 坂田栄男 4-0 高川格                     1 2 3 4 5 
  20. 1965 坂田栄男 4-0 山部俊郎                     1 2 3 4 5 
  21. 1966 坂田栄男 4-0 藤沢秀行                     1 2 3 4 5 
  22. 1967 坂田栄男 4-1 林海峰(坂田7連覇、挑戦手合17連勝達成)                                 1 2 3 4 5 
  23. 1968 林海峰 4-3 坂田栄男                     1 2 3 4 5 
  24. 1969 林海峰 4-2 加藤正夫                     1 2 3 4 5 
  25. 1970 林海峰 4-0 坂田栄男                     1 2 3 4 5 
  26. 1971 石田芳夫(秀芳) 4-2 林海峰                     1 2 3 4 5 
  27. 1972 石田芳夫 4-3 林海峰                     1 2 3 4 5 
  28. 1973 石田芳夫 4-0 林海峰                     1 2 3 4 5 
  29. 1974 石田芳夫 4-3 武宮正樹                     1 2 3 4 5 
  30. 1975 石田芳夫 4-3 坂田栄男(石田5連覇で24世の資格を得る)                              1 2 3 4 5 
  31. 1976 武宮正樹(秀樹、しゅうじゅ) 4-1 石田芳夫          1 2 3 4 5 
  32. 1977 加藤正夫(劔正) 4-1 武宮正樹                1 2 3 4 5 
  33. 1978 加藤正夫 4-3 石田芳夫                     1 2 3 4 5 
  34. 1979 加藤正夫 4-1 林海峰                     1 2 3 4 5 
  35. 1980 武宮正樹(正樹、せいじゅ) 4-1 加藤正夫                     1 2 3 4 5 
  36. 1981 趙治勲 4-2 武宮正樹                     1 2 3 4 5 
  37. 1982 趙治勲 4-2 小林光一                     1 2 3 4 5 
  38. 1983 林海峰 4-3 趙治勲(林3連敗4連勝で奪取)                     1 2 3 4 5 
  39. 1984 林海峰 4-1 淡路修三                     1 2 3 4 5 
  40. 1985 武宮正樹(正樹、せいじゅ) 4-1 林海峰         1 2 3 4 5 
  41. 1986 武宮正樹 4-1 山城宏                   1 2 3 4 5 
  42. 1987 武宮正樹 4-0 山城宏                   1 2 3 4 5 
  43. 1988 武宮正樹 4-3 大竹英雄                  1 2 3 4 5 
  44. 1989 趙治勲 4-0 武宮正樹                   1 2 3 4 5 
  45. 1990 趙治勲 4-3 小林光一                   1 2 3 4 5 6 7 
  46. 1991 趙治勲 4-2 小林光一                   1 2 3 4 5 
  47. 1992 趙治勲 4-3 小林光一(趙3連敗4連勝で防衛)     1 2 3 4 5 
  48. 1993 趙治勲 4-1 山城宏                     1 2 3 4 5 
  49. 1994 趙治勲 4-3 片岡聡                     1 2 3 4 5 
  50. 1995 趙治勲 4-1 加藤正夫                   1 2 3 4 5 
  51. 1996 趙治勲 4-2 柳時熏                     1 2 3 4 5 
  52. 1997 趙治勲 4-0 加藤正夫                   1 2 3 4 5 
  53. 1998 趙治勲 4-2 王立誠(趙10連覇達成、25世の資格を得る)                            1 2 3 4 5 
  54. 1999 趙善津 4-2 趙治勲                    1 2 3 4 5
  55. 2000 王銘琬 4-2 趙善津                    1 2 3 4 5 6
  56. 2001 王銘琬 4-3 張栩                     1 2 3 4 5 6 7
  57. 2002 加藤正夫(劔正) 4-2 王銘琬                     1 2 3 4 5 
  58. 2003 張栩 4-2 加藤正夫                     1 2 3 4 5 
  59. 2004 張栩 4-2 依田紀基                     1 2 3 4 5 
  60. 2005 高尾紳路 4-1 張栩                     1 2 3 4 5 
  61. 2006 高尾紳路 4-2 山田規三生                     1 2 3 4 5 
  62. 2007 高尾紳路(秀紳) 4-1 依田紀基(高尾3連覇、「秀紳」と号す)                             1 2 3 4 5 
  63. 2008 羽根直樹 4-3 高尾紳路(羽根3連敗4連勝で奪取)                                   1 2 3 4 5 
  64. 2009 羽根直樹 4-2 高尾紳路                     1 2 3 4 5 

二十四世本因坊秀芳


趙治勲

名誉称号

本因坊戦を5連覇以上、あるいは通算10期以上獲得した棋士は、引退後または現役で60歳に達した際に○○世本因坊を名乗る権利を得る。もとは名誉本因坊と称し、他のタイトルの名誉称号はこれに倣ったものである。1998年「名誉本因坊有資格者永世称号」が制定され、現在の称号となった。有資格者は後述の4人で、家元制最後の21世本因坊秀哉の後に続き、それぞれ22世~25世を名乗る。ただし趙治勲のみ10連覇の偉業を称え、60歳を待たずして「25世本因坊治勲」を名乗ることを許されている。また9連覇を達成した高川格は、現役のうちから「名誉本因坊・高川秀格」を名乗ることを許されていた。


高川9連覇

翌1952年には、高川格が挑戦権を獲得する。当時高川はまだ実績がなく、期待する者はほとんどなかったといわれる。第1局で高川は歴史的見損じを演じて日本棋院側を落胆させるが、本人はこれで冷静になり、第2局以降を4連勝して予想外の奪取劇を演じた。平明な棋風だが非力と見られていた高川は、本因坊になってもその力は正しく評価されていなかった。しかし高川は木谷・杉内雅男・島村利博・藤沢朋斎といった実力者の挑戦を次々に退け、連覇を重ねた。特に木谷は毎年好成績を挙げ、計3度本因坊に挑戦しながら奪取は成らず、悲運の大棋士と呼ばれた。1960年の第15期には藤沢秀行が挑戦。2-1とリードする。第4局も藤沢優勢であったが、ここで高川は無コウ(無効なコウダテ)を使い、藤沢がうっかりそれに受けてしまうというハプニングが起きた。藤沢はこれに気づいて精神的に動揺し、ミスを重ねて敗局。高川はその後も連勝で押し切り、見事9連覇を達成した。


坂田時代

1961年、10年前に橋本に逆転負けを喫して以来挑戦権に縁のなかった坂田栄男がついに登場する。41歳の坂田は積年の鬱憤を晴らすように4-2で本因坊を奪取、ここに坂田時代が幕を開けた。1963年には名人も奪取、秀哉以来の「本因坊名人」が誕生した。この時期坂田は圧倒的強さを発揮し、高川の2度のリターンマッチも粉砕、山部俊郎・藤沢朋斎もストレートで降している。1963年から67年にかけては挑戦手合17連勝という大記録を達成し、満天下にその実力を見せつけた。7連覇を果たした坂田のタイトルを奪ったのは、新鋭林海峰だった。すでに坂田から名人位を奪っていた林は、2度目の挑戦となった1968年の第23期、フルセットの激闘の末坂田から本因坊を奪い取る。林はここに本因坊名人となり、覇者は交代した。